| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-006  (Poster presentation)

天竜川水系における希少種カワラバッタの個体数密度と立地環境との関係【A】
Relationship between the population density of the rare species Eusphingonotus japonicus and habitat conditions in the Tenryu River system【A】

*廣岡亮, 大窪久美子(信州大学)
*Ryo HIROOKA, Kumiko OKUBO(Shinshu Univ.)

カワラバッタEusphingonotus japonicusは砂礫河原に生息する日本の固有種で、近年、生息環境の変化等で本種の減少が全国的に問題となっている。天竜川水系においても、本研究室の先行研究で個体数の減少や環境の変化による影響が懸念されてきた。本研究では保全に資するため、本種の食性等の種生態、生息状況および立地環境等について解明することを目的とした。調査地は天竜川水系の11箇所とした。各調査地には一辺5mのコドラート10個からなるライントランセクトが2024年と2025年で各2本と各4本が設置された。コドラート内には一辺1mのサブコドラートが1箇所に設置された。コドラート内ではバッタ類群集調査、サブコドラート内では植生調査と堆積物粒径割合調査が実施された。食性についてはカワラニガナを含む河川敷の植物8種を被験植物とし、室内実験が行われた。バッタ類群集調査の結果、全体で10科32種5,743個体が出現した。カワラバッタは全ての調査地で出現した。本種は幼虫と成虫別、および雌雄別での個体数密度(調査1回当たりの個体数/㎡)に有意差はなかった(p<0.05; Wilcoxsonの順位和検定)。植生調査では30科118種が出現した。食性実験の結果、カワラニガナやカワラヨモギといったキク科の河川固有植物や在来植物で被食割合が高い傾向だった。一方、特定外来のオオキンケイギクは被食されなかった。本種の生息環境には植被率や群落高が低く、表層の中礫割合の高いことが重要であると先行研究と同じく確認された。また新たにオオキンケイギクが優占しない植生環境や表層はシルトの割合が低く、細礫の割合が高い条件も重要であることが考えられた。さらに上記で得られた環境条件は繁殖活動においても重要といえる。同所的に生息するバッタ類群集の情報は本種や河川敷の環境を反映する指標にもなり得ることも示された。


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