| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-007 (Poster presentation)
カラスバトは,留鳥として本州中部以南の島嶼に分布しており,文化庁によって天然記念物,環境省によって準絶滅危惧種に指定されており,山口県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されている.また,島嶼で繁殖するため,詳細な生息数,生息状況や生態について明らかになっていない.そこで本研究では,瀬戸内海東部にある山口県光市牛島,田布施町馬島,平生町佐合島,柳井市平群島,上関町長島,祝島,八島の7つの島嶼を対象にカラスバトの分布を調査し,対象地におけるカラスバトの分布と季節による個体数の変動を把握し,季節による島間移動の可能性を考察することを目的とした.調査時期は2025年7月から2026年2月の間,各島1~3回分布調査を行った.調査方法は,ルートセンサス法を用い,設定したルート上を歩いている間に目視にて確認したカラスバトの位置と鳴き声が聞こえた位置を記録した.この時,姿が見えた方向,鳴き声が聞こえる方向を考慮して,可能な限り同一個体をカウントしないよう努力した.ルートは島を可能な限り一周できるように設定した.また,環境省が提供している現存植生図データと分布位置を照合し,カラスバトの生息する植生環境を調査した.調査の結果,牛島では8月に10個体,11月に14個体を確認した.馬島では7月は姿も鳴き声も確認されなかったが,10月に6個体を確認した.佐合島では,9月に16個体,12月に7個体を確認した.平群島では,10月に11個体,1月に6個体を確認した.長島は11月のみの調査で,姿も鳴き声も確認できなかった.祝島は8月に13個体,11月に5個体を確認した.八島は10月に1個体,2月に2個体を確認した.また,カラスバトはスギ・ヒノキ・サワラ植林に最も多く分布しており,続いて常緑果樹園,畑地雑草群落となっていた.カラスバトは,瀬戸内海東部の島嶼において広く分布していることがわかったが,島によって個体数の差や確認できない時期があることもわかった.