| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-008  (Poster presentation)

瀬戸内海西部沿岸におけるカシパンウニ類の生息条件【A】
Habitat conditions of sand dollars along the western coast of the Seto Inland Sea【A】

*齋藤聖(広島工業大学大学院), 岡浩平(広島工業大学)
*Sho SAITO(HIT Grad. School), Kohei OKA(Hiroshima Inst. of Technology)

カシパン類は、浅海の砂泥底に生息するウニであり、移動能力が低く、底質環境に依存する種と言われている。瀬戸内海のカシパン類は、過去には高密度に生息する事例も報告されているが、近年は減少傾向とされている。減少要因の1つとして、海域への土砂流入の減少や養殖による底質環境の悪化が挙げられるが、これらが検証された事例はない。そこで、本研究では、瀬戸内海の浅海域を対象に、カシパン類の分布と底質環境の関係性を明らかにすることを目的とした。
対象地は、底質環境が砂泥質の海岸を広島県と山口県から計21地点選定した。調査は2025年7月〜2026年2月の大潮の干潮時に行った。調査は、海岸線とおおよそ平行方向になるよう水深約1.2mにルートを設定した。ルート延長は、各海岸の大きさにあわせて80〜200mとした。ルート上では、幅1mの範囲に出現したカシパン類の種名と位置座標を記録した。また、ルート上の等間隔の3地点とカシパン類の出現地点で採土し、中央粒径とシルト・クレイ率を算出した。
調査の結果、21地点中11地点でカシパン類が出現した。種別ではヨツアナカシパンが9地点129個体、スカシカシパンが8地点141個体、ハスノハカシパンが2地点52個体、ヨツアナカシパンモドキが2地点2個体となった。対象地全域の底質環境は、中央粒径が0.12〜1.67㎜、シルト・クレイ率が0.0〜23.1%であった。カシパン類の出現地点は、中央粒径が0.19〜1.28㎜、シルト・クレイ率が0.1〜6.7%であった。以上の結果から、対象地ではスカシカシパンとヨツアナカシパンの2種が優占し、泥分の低い砂質土に分布する傾向にあった。このことから、瀬戸内海における底質環境の泥質化は、カシパン類の減少につながることが示唆された。


日本生態学会