| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-010  (Poster presentation)

ニホンヤマビルの相対密度の地域差とその環境要因の検討 山形県鶴岡市での調査【A】
Regional differences in relative density of japanese land leeches (Haemadipsa japonica) and their environmental factors【A】

*長南敬太, 小峰浩隆(山形大学)
*Keita CHOUNAN, Hirotaka KOMINE(Yamagata Univ.)

近年、日本においてニホンヤマビル(Haemadipsa japonica)の生息域の拡大、個体数の増加が問題となっている。かつてのヤマビルの分布は、山中や渓谷の一部に限定されていた。特に東北地方では、一部の限られた地域でのみ生息が確認されている。しかし、生息域が拡大し、地域住民の生活や観光業への影響が懸念されている。そのような現状に対して、ヤマビルの生態、地理的な生息要因については未解明の部分が多い。そこで本研究では、ヤマビルの生息に関係する環境要因の地域差を明らかにすることを目的として、山形県―鶴岡市において個体数と環境条件の関係を地域間で比較した。調査地は、山形県鶴岡市の藤倉山で6プロット、熊野長峰で5プロット、山形大学農学部付属演習林で7プロットを設定し、実施した。調査は2025年7月から10月の4ヶ月、各調査地を各月に一度訪れ、個体数と下層植生の植被率の記録を行った。さらにGPSを元とした各プロットの標高、気象庁が公表している気象データを用いた2週間の合計降水量と合計気温を加えたものを環境条件とした。調査の結果、演習林では生息が確認されず、藤倉山で342個体、熊野長峰は39個体を記録した。その後、負の二項分布を用いた一般化線形モデルにより、個体数と環境条件の関係を検証した。その結果、藤倉山と熊野長峰では、月ごとの個体数が7月から9月にかけて有意に増加した。環境条件と個体数では、2週間の合計降水量の増加、2週間の合計気温の上昇に伴い、個体数が有意に増加した。一方で標高の上昇に伴い、個体数が有意に減少した。以上の結果から、降水量と気温、標高が生息数へ影響を及ぼすことが示唆された。今後の研究では、より広範囲での個体数の計測と環境条件の比較を行うことにより、ヤマビルの生息条件がより詳細に明らかとなる可能性がある。


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