| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-012  (Poster presentation)

奄美大島における維管束着生植物の種多様性の変化~地形と林齢に着目して~【A】
Changes in species diversity of vascular epiphytes on Amami Oshima Island: Focusing on topography and forest age【A】

*前田大和, 川西基博, 比江島尚真, 鵜川信(鹿児島大学)
*Yamato MAEDA, Motohiro KAWANISHI, Shoma HIEJIMA, Shin UGAWA(Kagoshima Univ.)

熱帯・亜熱帯域における森林利用の進行にともなって、多くの着生植物が絶滅の危機に瀕している。森林の利用と生物多様性保全との両立を図るためには、伐採後の二次林において着生植物群集がどのように回復していくのか、その定着特性を明らかにする必要がある。本研究では、尾根および谷に位置する森林を対象に、林齢にともなう着生植物の群集構造および種組成の変化を明らかにすることを目的とした。奄美大島の常緑広葉樹林において、林齢33~148年生の林分を対象に、尾根・谷それぞれ15個の400㎡プロットを2021~2023年に設置した。2024年の5月から11月にかけて、各プロット内の胸高直径4cm以上の樹木に生育する着生植物を記録し、林齢にともなう種多様性、出現量および種組成の変化を解析した。その結果、着生植物の種多様性および出現量は尾根よりも谷で高く、いずれの地形においても林齢にともなって増加する傾向が確認された。尾根では、若齢林において着生植物の出現がほとんど見られなかったが、高齢林では種多様性および出現量の急激な増加が認められた。一方、谷では、若齢林からシダ着生植物が出現し、その後、ラン科着生植物の参入によって、林齢にともなう種多様性および出現量の緩やかな増加が確認された。さらに、着生植物の出現の増加には、森林の発達にともなう樹木サイズの増加が特に大きく寄与していることが示された。本研究の結果から、亜熱帯域における着生植物群集の種多様性の維持および周辺林への供給源としての機能を確保するためには、種多様性の増加が飽和する傾向を示した100年生以上の谷の林分を重点的に保護することが重要であると提案される。


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