| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-017 (Poster presentation)
噴火跡地における植生発達は様々な要因によってその方向や速度が制御される結果、異なる発達状態の植生が混在するモザイク状植生が作られる。しかし、多くの研究は単一の要因にのみ注目しており、複数の要因を扱った研究は限られている。浅間山の北麓は1783年の噴火における被害が集中しており、比較的狭い範囲で異なる攪乱を受けた場所が隣接し、かつ同一斜面における標高勾配に沿った調査が可能となっている。このことから、攪乱年代や斜面方位などの影響を除外し、攪乱タイプと標高による影響を同時に比較・検証できると考えた。そのため、本研究は攪乱タイプと標高の違いに伴う植生構造の変化とそれに関与する環境要因を解明し、北麓におけるモザイク状植生の形成要因を考察することを目的とした。
調査は、浅間山北麓において、同標高・異なる攪乱タイプ(溶岩流・火砕流・火山灰)の3サイトと、同攪乱タイプ・異なる標高(1350m・1515m・1700m)の3サイトでそれぞれ行った。各サイトに1×1m²の調査プロットを24個設置し植生および環境調査を行った。植生調査は高さ50cm以下の維管束植物を対象とし、種、生活形、被度を記録した。環境調査はいくつかの土壌特性と開空度を記録した。
調査の結果、溶岩流・火砕流上では貧栄養・乾燥・強光への耐性を持つ矮小低木が優占し、火山灰上では冨栄養・湿潤・弱光の環境を好むシダが優占していたことから、攪乱タイプの違いは優占種の生活形を制御していることが示唆された。一方、標高が低いほど土壌深が増加し、矮小低木の被度の低下、シダの被度・中高木の種数・サイト内総種数の増加がみられた。これらの結果は、標高の違いが植生の発達速度を制御していることを示唆した。以上から、攪乱タイプと標高はそれぞれ異なるプロセスで植生の発達を制御しており、それらが組み合わさることで北麓のモザイク状植生が形成されていると考えられる。