| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-020  (Poster presentation)

街路樹の周辺環境と樹木特性が樹上アリ群集構造に与える影響
Effects of Local Environments and Tree Traits on Ant Assemblages on Roadside Trees

*山本知希, 中森泰三(横浜国立大学)
*Tomoki YAMAMOTO, Taizo NAKAMORI(YOKOHAMA National University)

 都市においては、公園や街路樹など多様な緑地要素が分布しており、それらの配置は都市の生物多様性に影響を与えると考えられている。とりわけ街路樹は都市に広く分布する代表的な緑地要素であり、生物にとって利用可能な微小生息地として機能しうる。街路樹は多様な周辺環境のもとに分布しており、その違いが生物群集構造に及ぼす影響を明らかにすることは、街路樹の生息地機能の理解や都市緑地設計の検討に資する基礎的知見を提供する。
 こうした周辺環境の効果を検証する対象として、アリ類は都市部でも高頻度に観察され、環境変化に応答することから都市生態系の指標生物として有用である。先行研究では、街路樹の樹木特性(樹種や幹径)がアリ群集構造に影響を与える一方で、周辺環境の影響は小さいと報告されている。しかし、これらは主に樹種間比較に基づく知見であり、同一樹種内における周辺環境の効果は十分に検討されていない。
 本研究では、同一樹種内における幹径および周辺環境(不浸透面率、景観要素からの距離)が樹上アリ群集構造に与える影響を評価した。東京都多摩市の街路樹を対象に粘着シートによる採集を行い、得られた個体数および種数を目的変数、幹径および周辺環境を説明変数とする複数の一般化線形モデル(GLM)を構築し、AICに基づいて最適モデルを選択した上で各要因の効果を検討するとともに、種組成についてはPERMANOVAにより解析した。
 GLMの結果、樹種によって影響の程度は異なるものの、同一樹種内においても周辺環境の違いが個体数および種数の変動に関与していることが示唆された。一方、幹径の効果は一部樹種で認められたものの全体としては限定的であった。さらに、PERMANOVAの結果、周辺環境は種組成とも有意に関連しており、街路樹の微小生息地としての機能が周辺環境に依存する可能性が示唆された。


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