| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-023 (Poster presentation)
体幅が2 mm以上である大型土壌動物 (以下、土壌動物とする)は、有機物と鉱質土壌を混ぜ合わせ、土壌構造や炭素量を変化させうる。土壌動物の土壌への影響は腐食者の研究が主流であり、植食者による影響は不明点が多い。また、気候変動が進み降水の変動が大きな現在では、降水の時間的不均質性が生物と土壌に及ぼす影響についても理解が求められている。そこで本研究では、仮説「腐食性と植食性の土壌動物の相互作用が土壌に与える影響は、給水の時間的不均質性により変化する」を栽培実験により検討した。
植物はホソムギLolium perenne、腐食性の土壌動物はクロイロツリミミズAporrectodea trapezoides、植食性の土壌動物はドウガネブイブイAnomala cuprea幼虫を用いた。実験は、ミミズ2匹の有無とドウガネブイブイ2匹の有無、給水頻度 (毎日38 mL給水する均質条件か、4日に一度152 mL給水する不均質条件)を三要因とした。全てのポットの表層に等量の有機物を加えた。7週間植物のみをポットで栽培したのち、実験の三要因を与えて8週間栽培し、植物を刈り取った。土壌を回収し、耐水性団粒構造と総炭素量・窒素量を測定した。
土壌の相対含水率は、均質条件で緩やかに増減したが、不均質条件では急激に増減し、給水前には均質条件より乾燥した。均質条件では、直径2 mm以上と直径1-2 mmのマクロ団粒が、両土壌動物により増加したが、不均質条件では、直径1-2 mmの団粒は土壌動物が両方存在する時のみ増加した。また、総炭素量・窒素量は、両土壌動物により増加した。ドウガネブイブイが増加させる効果は、均質条件より不均質条件で小さかったが、ミミズも同時に存在すると給水条件間で増加量は変わらなかった。
以上から仮説は支持された。給水が時間的に不均質な環境下でも異なる食性の土壌動物が相互作用することで耐水性マクロ団粒と土壌炭素量が増加し、土壌動物の機能的多様性が環境変動下でも⼟壌機能の維持に寄与すると考えられた。