| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-027 (Poster presentation)
水田は多くの生物が生息する生物多様性ホットスポットである。営農期の水田では、農作業の進行状況や農法の違いにより、局所的な環境要因が1筆ごとに異なる。また、水田の立地条件によって周辺の環境構造も異なる。これらの局所環境要因と景観要因は、水生生物などの種多様性や個体数に影響を与えることが報告されている。そのため、水田生態系の高次捕食者である鳥類は、餌資源量の違いや営巣地など他のハビタットへのアクセスのしやすさに応答して利用する水田を選択すると考えられる。
鳥類の出現を記録するため、新潟県佐渡島の水田地帯で2024年および2025年の3月下旬から7月中旬にかけてラインセンサスおよび定点センサスを実施した。また、農作業状況を記録するとともに、「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」による環境保全型農法の実施状況を調査し、局所環境データとした。さらに、環境省自然環境調査Web-GIS上の現存植生図2024を凡例に基づいてArcGIS Proで処理し、森林、水域、人工構造物、田園の環境タイプを抽出した。これらの環境タイプが圃場周辺に占める割合および各圃場からの距離を算出し、景観データとした。2種類の圃場属性データと鳥類の出現データを用いて統計モデルを構築し、圃場属性が鳥類の水田利用に与える効果を鳥種別に評価した。
本研究では、採餌方法や形態の異なる水鳥(トキ Nipponia nippon、アオサギ Ardea cinerea、ダイサギ Ardea alba、ウミネコ Larus crassirostris、カルガモ Anas zonorhyncha、コチドリ Charadrius dubius、タシギ Gallinago gallinago)が選択する水田の圃場属性を分析し、水田の利用パターンと種間相互作用を考察した。また、佐渡市で行われてきた環境保全型農業が水鳥に与える影響について議論した。