| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-033  (Poster presentation)

都市化に対するヒキガエルの生活史戦略【A】
Life history strategy of toads against urbanization【A】

*入江聖奈, 大和久健太, 熊田玲奈, 村上智亮, 岩井紀子(東京農工大学)
*Sena IRIE, Kenta OWAKU, Reina KUMADA, Tomoaki MURAKAMI, Noriko IWAI(TUAT)

生物は都市化によって悪影響を受けることが多いが、生活史戦略を変化させて対応している場合もありうる。本研究では、都市に生息を続けるヒキガエルBufo formosusを対象として、都市の両生類で見られる形質の変化は、都市化による負の影響なのか、成長や寿命よりも繁殖に投資するといった戦略上の変化であるのか、明らかにすることを目的とした。野外調査により、成長速度・成体サイズ・年齢パラメータ(繁殖開始齢(繁殖に来た個体の最低年齢)、平均年齢、最高年齢)・年齢構成・卵サイズ・一腹卵数を明らかにし、都市度(緑被率)との関係を検証した。成長速度・成体サイズ・年齢パラメータの調査・年齢構成は、都市4地点、田舎3地点で、卵サイズと一腹卵数の調査は、都市度の異なる8地点で実施した。骨切片法によって得た年齢と体長のデータから算出した成長速度は、オスでは田舎、メスでは都市の方が高かった。成体サイズは雌雄ともに田舎より都市の方が小さかった。オスの繁殖開始齢は都市、田舎ともに2歳、平均年齢と最高年齢は都市の方が若齢であったが、メスの繁殖開始齢は都市で3歳、田舎で2歳、平均年齢と最高年齢は都市の方が高齢であり、都市−田舎間の年齢パラメータの大小関係は雌雄で逆を示した。都市のオスは早い繁殖で短寿命である一方、メスは遅い繁殖で長寿命となっている可能性がある。年齢構成の解析では、雌雄ともに都市と田舎間で有意な相違は認められなかった。一腹卵数には都市度の影響は認められず、メスの体長が大きいほど多かったが、卵サイズでは、メスの体長増加に伴う大型化の程度が都市ほど小さかった。都市の大きいメスは、卵サイズよりも一腹卵数へ投資することが示唆された。本研究により、都市のヒキガエルは、成長や寿命よりも繁殖に投資する戦略をとっているのではなく、成体サイズの小型化に伴う一腹卵数の低下により都市化の負の影響を受けている可能性が高いことが示された。


日本生態学会