| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-036  (Poster presentation)

安定同位体を用いたクロバエ群集の食性解析【A】
Feeding habits of blowflies revealed by stable carbon and nitrogen isotope ratios【A】

*田中幹也(岡山大学), 舘卓司(九州大学), 岸本圭子(龍谷大学), 岡本圭未​(岡山大学), 兵藤不二夫(岡山大学)
*Mikiya TANAKA(Okayama Univ.), Takuji TACHI(Kyushu Univ.), Keiko KISHIMOTO(Ryukoku Univ.), Tamami OKAMOTO(Okayama Univ.), Fujio HYODO(Okayama Univ.)

ハエ目は昆虫の中で最も多様なグループの一つである。ハエ目は植食性、菌食性、肉食性、腐肉食性、糞食性と多様な食性をもち、広い生息範囲を誇る。その中でも、クロバエ科は陸上生態系において糞・腐肉を摂食し、分解者として重要な役割を果たす。クロバエ科はその食性から、法医学や衛生昆虫学の分野において研究が多く行われている。しかし、法医学分野での食性の研究は死骸の分解状況に応じた種の遷移に関するものなどがあるが、自然環境下で種間の食性を調べた研究は少ない。そこで本研究では、クロバエ群集の食性を明らかにするために、窒素・炭素安定同位体を用いて調査を行った。窒素の安定同位体は食物連鎖における栄養段階を推定でき、炭素の安定同位体は餌資源の炭素源が推定できる。調査は与那(沖縄県)、半田山(岡山県)、椎葉(宮崎県)の3サイトで実施した。3サイト共通でホホグロオビキンバエを採集し、与那サイトではホホジロオビキンバエ、オビキンバエを、半田山サイトではオオクロバエ、キンバエなど複数種を採集した。採集した個体の後脚を用いて窒素・炭素安定同位体比を測定した。また、その地域の安定同位体比の指標としてリターを採取し、同様に安定同位体を分析し、統計解析を行った。その結果、3サイトで採集されたホホグロオビキンバエとリターの窒素・炭素安定同位体比の差は近い値を示し、3サイト間で大きな差はみられなかった。この結果は同一種のハエは異なる環境下でも同様の栄養段階の餌資源を利用する可能性を示している。本発表では、その他の種の同位体比についても報告し、クロバエ科の食性の特徴について考察する。


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