| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-037 (Poster presentation)
ゾウムシ類は主に被子植物を餌資源とするが、森林土壌中から採集される種も存在する。一般に土壌動物は分解者として有機物分解や栄養塩循環に寄与している。土壌ゾウムシ類も生態系において何らかの機能を有していると考えられるが、その食性はほとんどわかっていない。そこで本研究では、日本の森林土壌から採集されたゾウムシ類について安定同位体分析により食性解析を試みた。一般に、動物の窒素同位体比はその餌資源の値より約3‰高く、炭素同位体比は動物と餌資源でほぼ等しいため、これら安定同位体は食性解析に広く用いられている。本研究ではモニタリングサイト1000の森林サイト6地点(大佐渡、カヤノ平、大山、半田山、糟屋、椎葉)で採集された延べ6形態種について炭素・窒素同位体比を測定し、解析を行った。具体的には、各サイトにおいて、採集されたゾウムシ形態種、現地で採集された土壌、リターの間の窒素炭素同位体比の差異を解析した。その結果、半田山の1形態種において、他の形態種に比べて窒素同位体比および炭素同位体比が有意に高かった。またその窒素同位体比が土壌より有意に高く、炭素同位体比は土壌との間に有意差はなかった。この種は糟屋でも土壌やリターと比べて同様の同位体比パタンを示した。このことからこの種は土壌有機物を餌資源とする可能性が示された。大佐渡で見られた3形態種については、窒素炭素同位体比共に種間差は見られず、土壌と似た値を示した。大山の1形態種は窒素炭素同位体比共にリターよりも有意に高かった。この種は大佐渡とカヤノ平においても似た窒素同位体比を示した。また椎葉の1形態種でもリターと比べて同様の同位体比パタンを示した。ゾウムシが示す高い炭素同位体比からは、微生物分解を受けた枯死有機物を餌資源としていることが考えられた。今後、形態種の同定や他種の食性解析を進め、土壌ゾウムシ類の生態系機能の解明に寄与できればと考える。