| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-043  (Poster presentation)

温度と湿度の違いが地中性ミミズの保存状態と土壌炭素・耐水性団粒生成に与える影響【A】
Effects of temperature and humidity on the endogeic earthworms and their interactive effects on soil carbon and water stable aggregates【A】

*門谷ほのか, 葛西弘, 角田智詞(福井県立大学)
*Honoka KADOTANI, Hiro KASAI, Tomonori TSUNODA(Fukui Pref. Univ.)

陸上生態系の基盤である土壌とその機能への土壌生物の影響は、この20-30年間で理解が深まってきた。バイオマスが最も多い分類群の一つであるミミズ類は研究例が多く、土壌構造や機能を変化させる。近年では、ミミズ類以外の影響も解明する機運が高いことから、ミミズ類との相乗的な生態系機能を検討するために、実験的に扱えることが望ましい。本研究では、福井県に多いクロイロツリミミズAporrectodea trapezoidesをポット試験する際の基礎知見を得ることを目的とし、異なる温度と湿度で一定期間育てたミミズの土壌への影響と、その後一定条件で育てた際の土壌への影響を評価した。
実験1では、温度(4℃か10℃、16℃、22℃)を一要因とし、ミミズを9週間培養した。土壌湿度は最大保水容量に対して60%とした。培養後のミミズ生重量は、培養前と比べて温度が高いほど小さかったが、温度が低いと変化しなかった。ミミズが作る直径2 mm以上の耐水性マクロ団粒と土壌炭素は、温度が高いと多かった。次に、各温度で培養したミミズを、22℃の一定条件でさらに8週間培養すると、4℃・10℃で培養していたミミズの生重量は減少したが、それ以外は変化しなかった。ミミズが団粒構造と土壌炭素に与えた影響は、元の温度でほぼ異ならなかった。
実験2では、温度(4℃か22℃)と湿度(40%か60%)を二要因とし、ミミズを9週間培養した。培養後のミミズ生重量は、温度が高く湿度が低いと小さかった。直径2 mm以上の耐水性マクロ団粒と土壌炭素は、湿度が高いと顕著に多かった。次に、各温度・湿度で培養したミミズを、22℃・60%の一定条件でさらに8週間培養したが、元の温度・湿度は影響しなかった。
以上から、採集したミミズを保存するには、土壌湿度は高めで、温度を低く保つと良いと考えられた。ミミズが土壌に与える影響を調べる際は、温度を16-22℃程度にし、湿度を低くし過ぎないと、ミミズが活発に活動し、効果を検出しやすいと考えられた。


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