| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-048 (Poster presentation)
2025年、愛媛県の松原泉で、特定外来生物ミステリークレイフィッシュ(Procambarus virginalis)が複数確認された。本種は単為生殖で急速に個体数を増加させる可能性があり、生態系への影響が懸念されているが、国内での生態情報は限定されている。本研究では、確認水域でのサイズ構成を明らかにするために定期的な捕獲調査を行い、頭胸甲長(眼窩後縁~頭胸甲後縁)を測定した。また、単為生殖の確認および性成熟に至る時期を明らかにするため、捕獲個体の一部を一定の条件(水温22~25℃)で飼養して解析に供した。8月下旬から翌年1月にかけて14回の捕獲調査で625尾(頭胸甲長2.1~34.3mm)が捕獲された。体長と頭胸甲長には正の相関が認められた。月別の頭胸甲長分布では、混合正規分布によるコホート分析で2~3群のサイズ群に分離された。室内飼養に供した56尾のうち51尾の抱卵が確認された。抱卵個体の頭胸甲長は11.8~34.3mm、卵数は最大値686であった。2回目抱卵に至る最短日数は57日、再抱卵率は66.7%であったことから、野外で2回/年の産卵個体が一定数存在する可能性がある。野外捕獲から抱卵までの日数は最短10日であった。卵数と頭胸甲長、抱卵迄日数の関係を一般化線形モデルで解析した結果、頭胸甲長が卵数に強い正の影響を与えていた。また、野外捕獲から抱卵迄日数に応じた頭胸甲長の分布では、15日未満で抱卵に至った個体は比較的大きな頭胸甲長を持ち、30日以上を要した個体は比較的小さな頭胸甲長を持つ傾向が見られた。孵化迄日数は平均17.7日(n=13)であり、孵化まで親個体に明確な採餌行動は観察されなかった。2025年10月に4尾の抱卵個体(頭胸甲長:13.9~18.4mm)が捕獲され、野外条件下においても体長3㎝程度の個体で繁殖可能であることが示唆された。孵化個体の定期的なサイズ測定の結果、60日経過時点で頭胸甲長の個体差が2.7倍以上生じ、孵化から107日後に抱卵個体が1尾確認された。