| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-050 (Poster presentation)
輸入作物への種子混入は、外来植物の主要な導入経路のひとつである。これまでの研究で、導入先で侵略化した種の多くが混入によって持ち込まれたことが示されており、混入は有害な種を選択的に持ち込むリスクのある経路と考えられてきた。しかし実際には、定着に至らなかった混入種も多数存在する。混入という経路のリスクを正しく評価するには、定着した侵略的外来種だけでなく、定着しなかった種を含む全ての混入種を対象に、その特性を検討する必要がある。そこで本研究では、輸入物に混入していた全ての種を対象に解析を行った。
既往文献をもとに、北米・南米・アフリカ・アジア・ヨーロッパ・オーストラリア大陸に位置する計25ヶ国から輸出されたナタネ・ダイズ・とうもろこし等、計16種類の輸入物で混入が確認された約400種の雑草リストを作成した。各種の大陸ごとの定着の有無、種子重、埋土種子持続性、種子散布高、種子生産数、生活形、ライフスパン、IUCNデータベース上での侵略的外来種としての記録の有無を説明変数、混入頻度を応答変数、科をランダム効果とするGLMMで解析した。欠損値はランダムフォレストによる多重代入法で補完した。
その結果、混入頻度と有意に関連した特性は、種子重、種子生産数、ライフスパンのみで、種子が大きく、種子生産量が多い短命種ほど混入頻度が高いことが明らかになった。混入頻度は、一般に侵略性形質とされる生活形や埋土種子寿命とは関連せず、侵略的外来種としての登録有無とも関係がみられなかった。
以上より、混入は「種子が比較的大きく、種子数の多い短命草本」を選択的に持ち込む経路と特徴付けられるものの、侵略的形質を多く備える種の持ち込みリスクが高い経路とはいえないことが示唆された。混入由来で侵略化する事例は、特定の環境条件下でのみ生じるなど、全体としては例外的である可能性がある。