| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-052 (Poster presentation)
港湾は国際物流の拠点であり、輸入穀物への種子混入は農耕地雑草の主要な侵入経路となっている。近年は、海外で進化した除草剤抵抗性雑草の移入・定着も確認されており、除草剤に依存しない雑草管理が求められている。港湾の道路沿いでは草刈り管理が一般的であるが、植生の周期的な撹乱は、撹乱環境に適応した農耕地雑草の増殖を促進している可能性がある。そのため本研究では、新たな管理手法として熱処理の有用性を検討した。
鹿島港周辺に定着した一年生雑草の外来種オオホナガアオゲイトウ(Amaranthus palmeri)を対象とし、従来の草刈り管理と熱処理が実生発生および土壌シードバンクの低減に及ぼす効果を比較した。春季および夏季に野外操作実験を実施し、草刈り、熱処理、無処理区の実生数を調査するとともに、処理前後に採取した土壌(5cm層)について、発芽法により土壌シードバンクの量を調査した。さらに、熱水への暴露試験により、本種種子の耐熱性を評価した。
その結果、草刈り区でオオホナガアオゲイトウの実生数が最も多く、処理後6週間以内に優占した。一方、熱処理区では地表付近の種子密度が低下し、実生数が減少した。シードバンク調査では、熱処理による顕著な影響は検出できなかった。熱水処理実験では、80℃・30秒の処理で発芽が完全に阻害された。
以上より、従来の草刈り管理は光競合を緩和することで撹乱に適応した一年生雑草の出芽、生育を助長する可能性がある一方、熱処理は地表シードバンクを低減し、本種の発生数の減少に有効であることが示された。