| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-053  (Poster presentation)

礁池におけるカクレクマノミの宿主(ハタゴイソギンチャク)の減少:白化が原因か?
Long-term (22-year) decline of the clownfish-hosting sea anemone Stichodactyla gigantea in a shallow coral reef: possible effects of bleaching?

*服部昭尚(滋賀大学)
*Akihisa HATTORI(Shiga Univ.)

 サンゴ礁の海草帯周辺は穏やかで浅いため高水温になりやすい。このような場所に生息するハタゴイソギンチャクはカクレクマノミの宿主である。石垣島白保海岸の礁池の海草帯(水深0.2~1m,2005年の Degree Heating Weeks = 9.48, 最高水温38.3℃)において,本種の個体の消長について22年間(2003年~25年:但し2015・16年と2021・22年はno data)追跡し,生存特性を調べた。地形が非常に複雑なため,前半は国土地理院などの高解像度航空写真画像,後半はドローン空撮画像及び解像度の向上したGoogle Earth画像を野外観察用の地図として用い,262 ×116 m2の範囲内をスノーケル潜水によって地形等を把握しながら個体の位置,移動,縦分裂,消失,新規出現を記録した。追跡した69個体の10個体は22年以上,2個体は21年,3個体は20年生存し,23個体は5年未満で消失した。43個体が新規に出現し,5個体の縦分裂を確認したが,新規1個体(17年間確認)以外は全て消失した。1m程の移動を3個体確認した。2005年の大型台風による砂地移動の翌年にパッチリーフ以外で5個体が消失,2011年の豪雨後の赤土堆積の翌年に全体で7個体が消失したが,2007年のサンゴ類の白化後は砂礫帯で1個体のみ消失した。赤土・大型台風・白化が連続した2014~17年と2020~24年の後半からの消失が顕著であり,22年間の生存分析でパッチリーフとその他の間に有意差が検出された。ハタゴイソギンチャクは白化しにくく,白化後もあまり死なないと報告されているが,大型台風による砂地の移動と赤土堆積が加わると消失個体が多くなった。口盤上に砂がたまると粘液ごと剥離・除外するため,消耗が大きいのかもしれない。縦分裂個体は砂地移動による死亡を避けるために調査地外に移動した可能性もある。


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