| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-054 (Poster presentation)
エヒメアヤメは西日本の草原やアカマツの疎林に生育し,生育適地の減少が要因で絶滅危惧植物となっている一方,朝鮮半島を含む本種の分布域の南限地帯として一部の自生地が国の天然記念物に指定されている.これらの自生地では地域住民による下草刈りなどの管理が行われ本種の生育が可能な状態が維持されていることが多い.本研究の調査地である国指定天然記念物沼田西のエヒメアヤメ自生南限地帯(広島県三原市)では地域住民による保存会が1960年代に組織され,指定地の中央部において下草刈りによる維持管理が行われてきた.1960年代には指定地全体がアカマツの疎林であったが,現在は下草刈りが継続されている草原部と広葉樹林に遷移した外周部とに二分されている.また,2014年に発表者らが調査を実施した時点で指定地全体で約1,000個体が確認されていたが,2023年の再調査では539個体に減少していた.個体数や開花個体の減少の要因として外周部の樹木や草原内の単木による被陰が考えられたため,2024年2月から生長した広葉樹のうち一部の樹木を伐採して光環境の改善を図り,エヒメアヤメ個体群の開花結実を調査した.その結果,外周部の樹木の伐採よりも,草原部の樹木の伐採による光環境の改善効果が大きく,エリアにより効果に違いが見られた.2025年には光環境の改善効果が大きいエリアで総開花数の増加が確認された.一方,総果実数は前年よりも減少した.