| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-055 (Poster presentation)
カワラノギク保全・再生活動は相模川で11箇所(同じ場所で複数の活動が行われているときには活動数を記載)、多摩川で11箇所、鬼怒川で5箇所行われてきた。合計27箇所のうち、2025年秋現在、10箇所で活動が継続されていなかった。また、6箇所で活動が衰退していた。活動が継続されないと、保全・再生の対象としていた個体群もしくは系統が消滅し、本来の生息地に植え戻す見込みのない「生息域外保全」が行われることによる逸出や生理的な特性の変化が起こることが危惧される。継続を困難にする要因として①出水による保全・再生対象個体の流失、②環境の変化に伴う不適切な立地で個体群を維持するための過大な労力、③遷移による個体群の消滅、④活動の主要なメンバーの高齢化などがあげられる。2019年10月に相模川と多摩川では大規模な出水があり、再導入された田代運動場地先や自生の友田個体群が流失した。高田橋下流や大丸用水堰下流では不適切な立地になっていた。相模三川公園や羽村堰下橋では植生遷移が進んでいた。多くの活動団体で、主要なメンバーの高齢化が進んでいた。一方、新しい活動としては、①出水で絶滅したため再導入した友田、②生息域外保全を行っている二子玉川ライズ屋上、③生息域外保全を行っている立川第四小学校がみいだされた。今後の方向性としては、①河川環境を回復することが第一であるものの、河川全体の環境を元に戻すことは河床の礫の量と礫の供給を考慮すると困難である。そこで、河川の中で礫河原が形成されやすい立地をみいだすとともに、その規模がカワラノギクの個体群存続にとって十分であるか否かを解明し、再導入の可能性を前提とした生息域外保全を人工的な場所でも進めるとともに、立川民俗の会から立川市立第4小学校に生息域外保全が引き継がれたように世代を越えた後継者を養成し、他の活動団体とのネットワークの下に後継者が育つような努力を払うことが望ましい。