| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-061 (Poster presentation)
近年、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の勧告に伴い、サプライチェーン上流における森林リスクの定量的な把握が企業に強く求められている。本報告は、同大会にて若月らが口頭発表する「リモートセンシングを活用したTNFD対応のための自然資本調達評価手法」のうち、特に森林リスク評価の構築ロジックと精緻化手法に焦点を当てた詳細報告である。既存の森林景観健全性指数(FLII)等のグローバル指標は広域評価には適しているが、解像度や更新頻度の面で企業の詳細な分析には課題があった。そこで本研究では、300mメッシュ解像度において、最新の衛星データを用いた森林の「質(健全性)」と「将来の伐採可能性」の二軸による評価手法を検討した。森林の質については、Planet衛星画像による土地被覆分類を基盤とし、GEDIによるバイオマス量、MODISによる純一次生産(NPP)、および森林の連続性を、指数関数を用いた減衰モデルにより統合し、生息地としての重要性を可視化した。一方、森林伐採の可能性については、路網密度、過去の森林伐採履歴に加え、地形や気象条件から算出した特定の作物の「農地適地」情報を統合し、開発の蓋然性を考慮した将来リスクとして評価した。本手法により、農地開拓リスクをより精緻に反映したインパクト評価指標の構築が可能となり、TNFDが求める「自然の状態」の定量的な開示を支援する枠組みを実現した。今後は現地データとの検証を通じ、更なる解析精度の向上を図る。