| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-063  (Poster presentation)

ヌタ場における野生動物の利用状況と細菌群集の関連性
Association between wildlife use and bacterial communities in wallows

*山口英美(動物衛生研究所)
*Emi YAMAGUCHI(NIAH, NARO)

ヌタ場は多様な野生動物が利用する水場であるため、微生物の野生動物種内・種間伝播において重要なハブとして機能している可能性が指摘されているが、その実態に関しては不明な点が多い。本研究では、ヌタ場が野生動物群内における微生物伝播のハブとなる可能性を検討するために、ヌタ場における動物由来細菌の分布と野生動物の利用状況との関連を検討した。なお、動物に由来する細菌群の指標として、Bacteroidales目の細菌群を用いた。
筑波山系南部における20か所のヌタ場で1年間にわたってカメラトラップ調査を実施し、3ヶ月に1度、ヌタ場の水サンプルとヌタ場付近の土壌サンプルを採取し、メタゲノム解析によってサンプルに含まれる細菌叢を解析した。得られた細菌叢データを使って、ヌタ場の水サンプルとヌタ場付近の土壌サンプルに含まれるBacteroidales由来アンプリコン配列変異(ASV)を比較したところ、ヌタ場の水において全細菌群のASVにおける占有割合が高く、ASVの種類も多いことが示された(p<0.01)。加えて、ヌタ場の水サンプルを対象に、ASVのα多様度(Simpson’s index)を算出し、野生動物によるヌタ場への接触頻度との関係性について検討したところ、サンプル採取前2週間に野生動物によるヌタ場への接触が確認された日数の多いヌタ場で多様度が有意に高かった(p<0.01)。
以上の結果から、ヌタ場は野生動物による利用によって野生動物由来の細菌が供給されやすい場所になっている可能性が考えられた。


日本生態学会