| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-064  (Poster presentation)

西表島のマングローブ土壌に生息する細菌と真菌の多様性と群集構造
Diversity and community structure of bacteria and fungi in mangrove soil on Iriomote island

*赤路康朗(国立環境研究所), 谷口武士(鳥取大学), 井上智美(国立環境研究所), 三浦真吾(国立環境研究所), 馬場繁幸(ISME)
*Yasuaki AKAJI,(NIES), Takeshi TANIGUCHI(Tottori Univ.), Tomomi INOUE(NIES), Shingo MIURA(NIES), Shigeyuki BABA(ISME)

マングローブ林は熱帯および亜熱帯の潮間帯に成立する。マングローブ林の土壌環境は林分スケールで空間的に大きく変動することが知られている。したがって、土壌に生息する微生物の多様性や組成も林分スケールで大きく変化していると予想されるが、その空間変動性や微生物群集がどのように決まっているのかについて十分に解明されていない。そこで本研究では、西表島の後良川沿いに成立するマングローブ林を調査地として、細菌と真菌の多様性と群集組成、ならびに群集集合則を明らかにすることを目的とした。
調査林分の上流から下流までの約2 kmの範囲内で6つの採取地を設置し、各土壌から採取したDNAを用いて16S rRNAおよびITS領域を対象としたアンプリコンシーケンス解析を行った。結果として、細菌のASV(Amplicon Sequence Variants)の数やSimpsonの多様度指数は下流よりも上流の土壌で高い傾向があった。一方、真菌ではそのような傾向はみられなかった。細菌・真菌ともに、6つの採取地間で群集組成は異なっていたが、真菌よりも細菌の方が採取地間の違いが明瞭であった。群集集合則の指標であるβNTI(Nearest Taxon Index)を算出したところ、細菌では決定論的プロセス(環境フィルター)が群集構造を決める上で重要であるのに対し、真菌では確率論的プロセス(ドリフト)が重要であることが示唆された。以上の結果から、マングローブ林の土壌に生息する細菌と真菌は、それぞれ異なるプロセスで群集構造が決まっていることで、その多様性や群集組成の空間パターンに違いが生じていることが示唆された。


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