| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-066 (Poster presentation)
森林生態系における木材分解は炭素循環の重要な過程であり、寒冷・積雪環境下においても微生物活動によって進行する。本研究では、積雪期間および水分条件が木材分解と微生物動態に及ぼす影響を明らかにするため、群馬県水上町および新潟県湯沢町のブナの優占する標高の異なる4試験地において、ブナ角材を用いたリターバッグ分解実験を4年間実施した。分解速度定数、含水比、菌類・細菌DNAコピー数、ならびにITS2アンプリコン解析による群集指標を解析し、線形混合効果モデルおよび群集解析を行った。その結果、積雪期間は分解速度、微生物現存量、群集構造に対して直接的な有意効果を示さなかったが、含水比とは有意な正の関係を示した。一方、含水比は分解速度および細菌DNAコピー数と正の関係を示し、ASV数とは負の関係を示した。nMDS解析では設置年による群集分離が明瞭であり、群集構造は年変動の影響を強く受けていた。これらの結果から、積雪期間は分解過程を直接制御する要因ではなく、積雪によって形成される水分環境を介して間接的に作用している可能性が示唆された。今後、温暖化に伴う積雪変化は、積雪期間そのものよりも材の含水環境の変化を通じて分解過程および微生物動態に影響を及ぼすと考えられる。