| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-079 (Poster presentation)
タケ類は地下茎によるクローン繁殖で個体群を維持し、数十~数百年周期で一斉開花・枯死する。温帯に生育するハチク Phyllostachys nigra var. henonis は約120年周期で開花するとされ、近年全国各地で開花が報告されている。ハチクは開花後に地上部が枯死する一方、地下茎は生残して矮小ラメットを再生することが知られている。しかし、開花後に出現する矮小ラメットの配置や地下茎の状態変化については十分に解明されていない。
本研究では、2020年および2023年に部分的な一斉開花が発生した滋賀県東近江市「河辺いきものの森」のハチク林において、開花エリアの地下茎を掘り取り、ラメットの連結構造と地下茎残存量の特性から、開花後の地下茎とラメット生産の変化を評価した。2023年開花エリアにおいて矮小ラメットが集中する10地点を調査したところ、1断片の地下茎には4-12ラメットが連結し、6地点では地下茎の伸長先端が確認された。矮小ラメットの開花率は80%で、開花・未開花間でラメットサイズには差がみられなかった。一方、地下茎断片の基部では開花ラメット、先端側では未開花ラメットが多く出現した。
地下茎の残存状況について、未開花および2023年開花エリアでは深度が増すほど直径が大きくなる傾向がみられたが、2020年開花エリアではその傾向は認められなかった。地下茎乾重量は各エリアとも深度20-30 cmで最大となり、総重量は2023年開花エリアで最も大きく、開花4年後の2020年開花エリアで最小であった。以上より、ハチクは開花後も地下茎の伸長方向へ資源を転流し、開花およびラメット再生に投資するものの、時間経過とともに地下茎内の資源量は徐々に減少することが示唆された。