| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-082 (Poster presentation)
タイの主な森林の種類の一つに、乾燥フタバガキ林(Dry Dipterocarp Forest, DDF)がある。コラート高原南縁部に位置するタイ科学技術研究院サケラート環境ステーション内(14.51°N, 101.95°E)に所在するDDFにおいて、代表的な樹種である落葉性フタバガキShorea siamensisの出葉フェノロジーと気象との関係の解明を目的とした観測調査を開始した。
過去、2018年12月、2019年12月に同森林で意図的に火災を発生させる実験を実施した(※既報)。その際、2018年の実験では、火入れ区画内のShorea siamensisの立木で火災の約3週間後に新葉が出現していた一方、火災の影響を受けなかった場所では旧葉をつけたままである様子が観察され、2019年の実験でも、火災による、あるいは自然の落葉後最初のまとまった降水に伴う土壌水分の増加が出葉を促すことが示唆された。
そこで、このDDFのShorea siamensisの出葉は水分律速であるという仮説を考え、3本の立木に、それぞれ枝を近接撮影する定点カメラ数台と根圏の深さ20cmに土壌水分センサを設置し、降水量や気温湿度などと併せ2024年末から連続観測を開始した。2025年2月下旬には開始後最初の出葉の映像記録を取得できた。その前後の期間の気象や土壌水分量の時系列から、このDDFのShorea siamensisでは、降水に伴う土壌水分の増加により出葉するが、土壌水分の増加から開葉までの時間遅れが非常に短く、これは、予め形成された葉芽が、開葉のために降水を待機していたことを示唆する。ここでは映像と気象についてのみ報告するが、今後も観測を継続しつつ、他の観測記録項目と併せた解析を行う予定である。
(※)ESJ68(2021.03.19) P2-118、ESJ69(2022.03.15) P2-163