| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-084 (Poster presentation)
高山帯における送粉共生系については十分な知見が得られているとはいえない。本研究では、高山帯の優占種であるツツジ科小低木3種(クロマメノキ、コケモモ、シラタマノキ)を対象に、訪花昆虫を特定した。また、DNAメタバーコーディングを用いて、昆虫の体に付着する花粉の植物種を同定し、各昆虫種が運ぶ全植物種の花粉量と、各昆虫種が運ぶ各ツツジ科小低木種の花粉量を推定した。調査は、浅間山の高山帯で行った。訪花昆虫の捕獲調査は、標高1670m、1770m、1870mの3つの地点で、2021年と2022年の6月から8月にかけて行った。花冠に侵入したアリ類の滞在時間も計測した。花冠に侵入したアリ類の滞在時間は、コケモモよりシラタマノキの方が有意に長く、クロマメノキとシラタマノキの間と、コケモモとシラタマノキの間には有意な違いが示されなかった。各昆虫種の訪花頻度(花に訪れた個体数)、体の付着花粉量(1個体当たり)、花冠に侵入したアリ類の滞在時間の結果に基づいて、各ツツジ科小低木種の他家受粉と自家受粉に貢献しうる花粉媒介者の推定を試みた。その結果、クロマメノキにとって、他家受粉を担う飛翔性昆虫として重要な種は、オオマルハナバチ、コマルハナバチ、クロマルハナバチ、ミヤママルハナバチ、シロオビホオナガスズメバチ、ツヤクロスズメバチ、ヤドリホオナガスズメバチで、自家受粉を担う徘徊性昆虫として重要な種は、トビイロケアリとハラクシケアリ隠蔽種群だと推定された。コケモモにとって、他家受粉を担う飛翔性昆虫として重要な種は、クロマルハナバチとミヤママルハナバチで、自家受粉を担う徘徊性昆虫として重要な種は、トビイロケアリとハラクシケアリ隠蔽種群だと推定された。シラタマノキにとって、他家受粉を担う飛翔性昆虫として重要な種を特定することはできなかったが、自家受粉を担う徘徊性昆虫として重要な種は、トビイロケアリだと推定された。