| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-085 (Poster presentation)
ニホンジカ(以下、シカ)の生息密度が高い植栽地では、防鹿柵の設置等のシカ対策が必須とされている。しかし、防鹿柵の維持管理コストが高いことから、破損しても放置され、植生回復が不十分な植栽地も少なくない。そこで、新たな植生回復方法を検討するための知見として、防鹿柵が破損し、植栽木の消失および植生の衰退が起こった植栽地において、再度、防鹿柵の設置及び植栽を実施し、植栽木の成長および植生に及ぼす影響を明らかにすることとした。調査は、兵庫県宍粟市の植栽地(面積1,024m2)1か所において、2014年と2015年の2年間(Ⅰ期)および2024年と2025年の2年間(Ⅱ期)に実施した。この植栽地では、2014年に皆伐、コナラの植栽、防鹿柵の設置が行われたが、2020年頃に防鹿柵が破損し、シカによる植栽木の消失および植生の衰退を経て、2024年に再度コナラの植栽、防鹿柵の設置が行われた。防鹿柵は2014年および2024年の開葉前に設置し、設置年および翌年の秋に、植栽木の地際径、開空度および土壌含水率を測定し、植栽木を中心とした1m×1mの植生調査地点(29地点)で出現植物の種名と被度パーセントを記録した。コナラ植栽木の1年間(前年から調査年まで)の地際径成長量は、前年地際径、開空度、期で説明することができ、前年地際径が大きいほど、植栽木の樹上が明るいほど、Ⅰ期に植栽した個体の方が大きかった。出現種数は、Ⅰ期とⅡ期で同程度であったが(2014年が46種、2015年が60種、2024年が48種、2025年が58種)、イワヒメワラビ、コバノイシカグマ、タケニグサといったシカ不嗜好性植物がⅡ期により多く出現した。また、NMDS(非計量多次元尺度法)を用いて、各植生調査地点の種組成に基づき序列化したところ、Ⅰ期とⅡ期で異なる2グループに分かれた。最初の防鹿柵の設置から破損までの間に多くの埋土種子が消費されたこと、防鹿柵の破損後にシカの採食を受けたことなどが影響して、植栽木の成長や植生がⅠ期とⅡ期で異なったと考えられた。