| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-100 (Poster presentation)
自動撮影による生物多様性モニタリングにおいて、調査努力量の設定は重要であるが、特に積雪等の季節変動が著しい地域における最適調査期間の定量的指針は確立されていない。本研究は、石川県林業試験場(白山市)にて14年間(2012–2017年は春から秋、2018–2025年は通年)にわたり同一観測システム(FieldnoteDUO)を維持した長期データを用い、機器由来のノイズを排除した形で調査努力量を算出した。
全101,095画像中、独立イベントは18,608件で、哺乳類17種、鳥類23種が記録された。頻度順に哺乳類はタヌキ(3928)、ニホンカモシカ(3295)、アナグマ(2865)、イノシシ(1841)、ハクビシン(971)、ニホンノウサギ(819)、ニホンテン(812)、アカギツネ(713)、ニホンザル(639)、ニホンジカ(485)、ニホンリス(454)、ツキノワグマ(368)、ネコ(292)、ニホンイタチ(154)、イヌ(83)、アライグマ(1)、ムササビ(1)であった。鳥類はクロツグミ(360)、トラツグミ(203)、キジバト(113)、カケス(97)、ヤマドリ(34)、シロハラ(27)、アオゲラ(9)、アトリ(8)、ヒヨドリ(7)、クロジ(5)、ヤマシギ(5)、シジュウカラ(3)、ヤブサメ(3)、ヤマガラ(3)、ミゾゴイ(2)、イカル(1)、カシラダカ(1)、カワラヒワ(1)、キジ(1)、コマドリ(1)、ハシボソガラス(1)、フクロウ(1)、ルリビタキ(1)であった。
陸生哺乳類を対象に約100m間隔の6地点データから全種確認日数を算出した結果、調査効率に顕著な季節性が認められた。10月開始は平均41日で全種確認でき、冬季(平均172日)の約4倍の効率かつ年変動も最小であった。また近接地点でも独自種が出現するため、希少種検出には期間延長より複数台配置による空間補完が有効と示された。以上より、広域調査では10月に6台で設置40日間とし(種数の9割以上把握)、学術目的では設置60日間を標準とすべきである。本成果は、長期データに裏打ちされた堅牢な調査計画の策定に寄与し、野生動物管理における効率的なモニタリング体制の構築にも資するものである。