| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-105 (Poster presentation)
本研究は、マクロな視点から日本の公共用水域(沿岸、湖沼、河川)における全窒素濃度の現況、変化傾向などを把握することで、将来の水質管理等に貢献しうる情報を抽出、提示することを目的とした。データは環境省水環境総合情報サイトにおいて、沿岸・湖沼は2000年から、河川は2009年から2021年までのデータ(年間値)を入手した。期間中に欠測のない地点のみを抽出後、重複座標地点のデータ平均化処理等によりデータセットを整備した(合計4831地点。沿岸:1194地点、湖沼:452地点、河川:3185地点)。なお、空間分布パターンの解析においては全水域のデータが利用可能な2009年から2021年を対象期間とした。次に、水域レベル・地点レベルでの(相対)濃度(Zスコア化)・時系列トレンド(Mann-Kendall test及びTheil-Sen Slope)を算出した後、ホットスポット解析等による相対濃度の高い・低いクラスター、同タイプの時系列トレンドが集中したクラスター、の特定等を行った。結果より、水域レベルでの濃度レンジは河川>湖沼>沿岸の傾向であったものの、共通して時間の経過とともに低下する傾向を示していた。一方、個別地点レベルでの相対変化率(変化速度(mg/L/year)/中央値(mg/L)×100)では大半の地点が有意なトレンドを示さず(約69%)、低下トレンドを示す地点は約29%程度であった。上昇トレンドを示す地点は僅かであったものの、局所的に高い上昇率を示す地点も確認された。この他、濃度レベルとトレンドタイプの関わり、濃度変化への変化率の依存性、についての検討も行った。空間分布パターンの解析から、幾つかの相対濃度レベル基づく空間クラスターが形成・維持されていることが明らかとなった。この他、濃度・トレンドのクラスターの分布パターンの関連性についても併せて検証した。