| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-107  (Poster presentation)

北海道・羊ヶ丘実験林におけるミミズ糞塊の空間分布
The Spatial Distribution of Blocky Earthworm Cast (BEC) in the Hitsujigaoka Experimental Forest, Hokkaido

*橋本徹(森林総合研究所)
*Toru HASHIMOTO(FFPRI)

ミミズが排泄する糞塊(Blocky earthworm cast: BEC)は森林生態系の水循環、物質循環に大きな影響を与える。北海道にある羊ヶ丘実験林では、林床に直径数cmサイズのBECが広範囲に観察される。巨大なBECがまとまって広範囲に見られる事例は国内では珍しい。これだけミミズによる明瞭な地表改変がされていれば、森林生態系の水・物質循環におけるミミズの影響を検出できる可能性がある。そこで、本研究では、まずこれらの分布範囲を特定し、BECの発達に寄与する環境要因との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】 調査は森林総合研究所北海道支所の羊ヶ丘実験林(122地点)とその周辺部(40地点)で行った。各地点で、10×10 cm枠内のBECの発達程度を6段階で評価した。実験林内の調査点では、森林タイプ、ササ植生高、リター厚、およびリター種類(針/広/混)を調べ、BECの発達程度に対する環境要因の影響を順序ロジスティック回帰モデルで解析した。
【結果と考察】 当実験林において、BECは幅約100m、長さ約1200mというまとまった面積に集中して広がっていた。順序ロジスティック回帰の結果、BECの発達程度と有意に関連があったのは、リターの種類(質)とリター厚(量)であった。 具体的には、針葉樹リターの場所ではBECが少なく、また、BECの発達した場所ではリター厚が薄いという関係が検出された。このリター厚の減少は、ミミズ活性が高い場所でより多くのリターが採食された結果であると解釈した。
【結論】 本研究の結果は、森林タイプによってミミズ活性が異なり、広葉樹林ではミミズによるリター採食を通じて物質循環が促進されているという可能性を示唆する。


日本生態学会