| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P0-111  (Poster presentation)

自然共生サイトをフィールドとした自然体験プログラムの実態と課題
Current situation and future issues for promoting nature experience programs in Nationally Certified Sustainably Managed Natural Sites (OECMs)

*小柳知代, 安藝圭優, 猪飼遥香, 市場美帆, 小野紗波, 田中佑衣夏(東京学芸大学)
*Tomoyo KOYANAGI, Keisuke AKI, Haruka IKAI, Miho ICHIBA, Sayana ONO, Yuika TANAKA(Tokyo Gakugei University)

幼少期だけでなく幅広い世代における自然体験の消失を背景として、自然体験を提供する場(機会)の重要性が高まっている。自然体験を提供する場として、民間が保有する緑地をフィールドとしたプログラムが増加しているものの、その特徴や継続に向けた課題は明らかでない。本研究は、自然共生サイト(民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域:日本版OECM)に着目し、自然共生サイトをフィールドとした自然体験プログラムの実態と課題を明らかにすることを目的とした。全国の自然共生サイトを対象にアンケート調査を実施し、実施主体や運営形態等の特徴との関係から課題と要因を検討した。調査は2025年7~8月に実施し、当時認定を受けていた328サイト中71サイトから回答を得た(回答率21.6%)。一般市民向け、教育機関向け、所属先メンバー向けの3類型について、実施状況(開催頻度や受入人数等)、参加費、活動内容、課題等を質問した。本発表では、特に一般市民向けプログラムについての分析結果を報告する。回答した自然共生サイトの75%が一般市民向けプログラムを実施しており、うち6割は参加費を取っていなかった。一方で、参加費を設定している団体ほど費用が安いまたは安すぎると認識する傾向がみられた。参加費の金額は参加人数やプログラム運営に対する補助の有無と関連し、参加人数が少なく補助が無いほど高くなる傾向があった。また、参加費を設定している団体ほど今後の活動拡大に前向きであった。プログラム運営上の課題としては、予算、マンパワー、安全管理が多く挙げられた。以上より、民間が保有する緑地をフィールドとした自然体験プログラムの継続的発展に向けては、団体の特性や体験内容を踏まえた適切な参加費設定や、行政等による補助の充実が重要であることが示唆された。


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