| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-002 (Poster presentation)
ボルバキアは昆虫種の約40%に感染している細胞内共生細菌であり、宿主の生殖を操作することで自身の感染を拡大することが知られている。日本の奄美大島以南に分布するシロチョウ科のミナミキチョウ Eurema hecabe (以下、ミナミ) はwCIとwFemと呼ばれる2系統のボルバキアが感染しており、中でもwFemは子をメスにするメス化を引き起こす。このミナミについて、2015年から石垣島における野外性比とwFemの感染頻度の調査を行っている。その結果、メス化を引き起こすwFemの感染拡大に伴って、野外におけるメス率は93.1%まで増加したことを過去に報告した。しかしその後の調査から、短期間のうちにメスに偏った性比異常が回復したことが明らかとなった。このような急激な性比の変化は、交尾行動の変化や近親交配の増加による近交弱勢など、宿主に対し多様な影響を及ぼす可能性がある。そこで、この性比動態がミナミにどのような影響を及ぼしたのかを明らかにするため、飼育実験や10年分の野外採集オスとメスの解剖、ゲノム解析によって性比異常がミナミの石垣島個体群へ与えた影響を調査した。本発表では、得られた結果について議論したい。