| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-005 (Poster presentation)
コロナ禍は,人々の社会生活を一変させた近年最大のイベントであり,人と自然との関わり方も変容したことが明らかになりつつある。先行研究では,スポーツ活動を目的とした公園や緑道の利用頻度の増加や,河川や海岸などを訪れる機会の増加等,身近な自然環境の利用機会が増加したことが報告されている。これらの生活の変化を通して,身近な生き物との遭遇頻度が増加し,興味関心が増加したことが期待される。
発表者のこれまでの研究では,Google Trends から「身近な自然にみられる生物種(田んぼや都市でみられる生物のハンドブックから検索語句を選定)」のオンライン検索データを取得し,その時系列的変化を解析した。その結果,身近な生物種名はコロナ禍以後に検索回数が増加したものが多く,関心の高まりが示唆された。
これらの結果を踏まえ本研究では,検索回数の季節パターンの分類と将来予測に取り組む。日本では,四季の変化が自然との関わり方や文化的活動と密接に結びついており,自然がもたらす文化的価値の理解において重要である。そこで,STL 分解により抽出した検索データの季節成分に対してクラスター分析を実施し,語句の示す検索回数の季節パターンと関心の高まり度合いとの関係を調査した。さらに,関心の変化が今後どのように継続していくのか,またその将来動向と関連する要素は何かを明らかにすることを目的として,ベイズ構造時系列モデルを用いて検索データの将来予測を行った。具体的には,異なる時点までのデータに基づいて以下の3つの将来動向を作成した: 2020年時点(コロナ禍がなかった場合の反実仮想予測), 2023年時点(コロナ禍の影響が続いた場合の反実仮想予測),2026年時点(コロナ禍収束後の動向変化も踏まえた将来予測)。これらの結果を比較し,コロナ禍が身近な生物種への関心に与えた影響とその今後について議論する。