| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-007  (Poster presentation)

モバイルアプリを用いた情報提供による自然との関わり促進効果の検証【S】
Effectiveness of Information Provision Using a Mobile Application for Promoting Engagement with Nature.【S】

*三鬼裕泰郎, 張浩東, 上杉瑠架, 松川幸資, 棟方渚, 西田貴明(京都産業大学)
*Yutaro MIKI, Koto CHO, Ruka UESUGI, KOSUKE MATSUKAWA, Nagisa MUNEKATA, Takaaki NISHIDA(Kyoto Sangyo Univ.)

近年、自然共生社会の推進が求められており、国際目標や国家戦略において市民の自然との関わりにおける行動変容が重視されている。しかし、自然との関わりにおける行動変容を検討するために重要な行動の要因分析は限られており、行動変容研究についても、アプリ等の介入の効果検証は見られるものの、具体的な情報提供の種類や方法が適切かについては検討が不十分である。そこで本研究では三重県いなべ市の緑化商業施設「にぎわいの森」で、2025年5~6月にアンケート調査による自然との関わりにおける要因把握と効果的な情報提供の検証を行い、同年10月から2か月間にわたりWebアプリケーションを用いた情報提供による行動変容効果を調査した。アンケート調査では多項ロジスティック回帰分析の結果から、自然との関わりの行動意図に対し、「貢献の実感」が統計的に有意な要因として検出され、行動促進に有効であることが示唆された。実証実験ではQRコードを読み取ることで自然と関わるミッションに参加することができるWebアプリを開発し、ミッションクリア数を行動量とした。アンケート調査の結果を踏まえ、アプリ内においてミッションクリア後に「貢献の実感」に関する情報提供を行う介入群と情報提供を行わない対照群を作成した。本実証実験では両群の行動量を比較し、情報提供による行動促進効果の検証を行った。実証実験の結果、介入群(n=66)の方が対照群(n=44)に比べ行動量が高かったが、統計的有意差は見られなかった。また、アプリユーザーに対するアンケート調査の結果、アプリ利用による満足度、自然に対する貢献の実感や知識、関心の向上など全ての項目で介入群の方が高くなったが、統計的な差は見られなかった。これらの結果より、「貢献の実感」が自然との関わりを促す可能性が確認できた。また、本研究は既往研究とは異なりアプリ等によるより良い介入を設計することに寄与する知見を提供するものと考えられる。


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