| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-018  (Poster presentation)

都市内の多様な緑地と、自然への心理的つながり・態度・行動、および地域愛着との関係【S】
Relationships between diverse urban green spaces and psychological connectedness, attitudes, behaviors toward nature, and place attachment【S】

*今西亜友美(近畿大学), 今西純一(京都大学)
*Ayumi IMANISHI(Kindai Univ.), Junichi IMANISHI(Kyoto Univ.)

 都市内の緑地の保全・整備計画に資する,緑地面積や緑被率など量的側面に関する知見は蓄積されてきたが,緑地の質が人々の意識や行動に及ぼす影響についての科学的知見は十分とはいえない。都市内には公園緑地に加え,神社仏閣や古墳に付随する文化的・精神的価値を有する神聖視される自然が点在し,公園緑地とは異なる質的特性を持つ。しかし,これらの緑地が人々の意識や行動にどのように関与するかについては,十分に検討されていない。本研究は,都市内の多様な緑地と,人々の自然への心理的つながり,行動,地域愛着との関係を明らかにすることを目的とした。
 2025年1月に大阪府羽曳野市,藤井寺市,松原市に居住する一般成人978名を対象にアンケート調査を実施し,緑地の訪問頻度と各尺度との関連を数量化Ⅰ類により検討した。その結果,女性であること,および公園・神社・古墳以外の緑地の訪問頻度が高いほど,自然との心理的つながりの得点は高い傾向が認められた。また,公園・神社の訪問頻度が低いほど低い傾向が認められた。
 環境配慮行動については,古墳の訪問頻度が低い人ほど実施数が多い傾向が認められた。一方で,公園・神社の訪問頻度が低い人ほど少ない傾向が認められた。
 地域愛着については,公園の訪問頻度が低い人ほど地域愛着は低い傾向が認められた。また,神社の訪問頻度が高い人ほど,地域愛着のうち選好の側面が高い傾向が認められた。さらに,居住年数が長い人ほど,また公園の訪問頻度が高い人ほど,地域愛着のうち感情と持続願望の側面が高い傾向が認められた。
 古墳の訪問頻度が環境配慮行動と負の関連を示した点については,古墳の利用特性が影響していると考えられる。多くの古墳は文化財保護の観点から立ち入りが制限されている。一方で,公園や神社は日常的に利用可能であり,滞在や体験を伴う利用が,自然や地域への愛着や環境配慮行動の醸成に寄与している可能性が示唆された。


日本生態学会