| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-020  (Poster presentation)

日本における気候変動問題への関心に対する年齢・時代・出生コーホート効果の検証【S】
Examining age, period, and cohort effects on concern about climate change in Japan【S】

*古川真莉子, 林岳彦(国立環境研究所)
*Mariko FURUKAWA, Takehiko I HAYASHI(NIES)

気候変動影響は、生物多様性の損失や生態系サービスの低下につながる可能性があり、国際的に重要な課題となっている。気候変動に対する人々の意識や行動が不十分である場合、適切な対策が講じられず、生態系の劣化が加速する恐れがある。気候変動の認識については世代間ギャップが報告されており、欧米諸国では高年齢層と比べ若年齢層が気候変動について懸念している傾向がみられている。しかし、このような気候変動認識に関する研究は欧米諸国を対象とした研究が多く、それ以外の地域ではほとんど行われていない。そこで本研究では、日本における気候変動に対する関心度について、長期的にどのように変化しているのか、さらに加齢や出生年によるコホートによる認識の差が生じているかを調べるために、1997年から2023年までの間に8回実施(1997、1998、2001、2005、2007、2016、2020、2023年)された内閣府世論調査における気候変動問題をはじめとする地球環境問題の「関心度」の設問のアンケートデータを用いて、年齢・時代・出生コホート効果を検証した。その結果、日本では欧米諸国と異なり、年齢が上がるほどに気候変動認識に対する関心が高くなり60代で最も高くなった。さらに、出生コホートは、1940年代が最も関心が高く、若いコホートになるほど関心が低い傾向がみられた。また、関心度は1997年調査と1998年調査間にかけて急激に上昇し、2007年調査時まで上昇傾向がみられた。しかし、次回の調査である2016年調査時では大きく関心が低下していた。以降は再び上昇傾向がみられた。このように日本における気候変動認識は欧米諸国とは逆の傾向がみられた。今後は、関心度の変化をもたらした背景要因をより詳細に検討し、日本に特有の世代差がどのように形成されてきたのかを明らかにする必要がある。


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