| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-022 (Poster presentation)
背景と目的:都市部の残存二次林では予防的な伐採管理といった人為的な攪乱により生態的なモザイク構造が形成される。本研究では、東京都緑地保全地域を事例に、都市残存林の管理活動に応じた林床植生の生育特性を明らかにした。
方法:清瀬中里緑地保全地域(KN)と東村山大沼田緑地保全地域(HO)において、林縁(edge)を横断するようにベルトトランセクト(BT)調査区(2m×20m)の測線を設けた。2025年3月末に40個(1m×1m)のコドラート毎の写真を撮影し、カタクリ(Erythronium japonicum Decne.)とフキ(Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim.)の出現株数をそれぞれ計数した。BT上の4測点で2月~4月に地際気温(20cm高)ならびに土壌温度(5cm深)を連続測定し、各測点上の天空率を算出した。
結果:KNでは、すべてのコドラートでカタクリが確認され(2,413個体/40m2)、うち開花した個体は241個体(9.99%)であった。一方で、HOでは、林縁外のみで747枚のフキ葉、10個のフキノトウ(花蕾)が確認された。地際気温の発現状況や天空率は、両地域とも、林縁内外で明瞭な差異は確認されなかった。一方で、KNのカタクリの1枚葉(未開花個体)の水平分布をみると、林縁部を中心に出現個体数が凹状に分布する傾向がみられた。さらに、3月の土壌温度をみると同様に凸状となる傾向が確認された。
考察とまとめ:カタクリの1枚葉の水平分布は林縁内外で個体数に分布の差がみられた。これには、人為的な伐採管理に加えて、微地形や他の林床植物種との競合関係による影響が推察される。都市残存林の林床植生は、都市に貴重な生態系サービスを提供するという点で重要であり、人為的な攪乱と林床植生の生育特性との関係性の把握が今後とも求められる。