| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-023 (Poster presentation)
山菜や木の実などの食用の野生植物(ここではまとめて「山菜」と呼ぶ)の利用は、伝統的で身近な生態系サービスとして親しまれてきた。山菜利用とそれを支える地域文化や伝統的知識は、過疎・高齢化、生活様式の近代化、2011年3月の福島第一原発事故などの影響によって急速な消失・均質化が懸念されている。しかし、統計資料が対象とするのは市場取引されるメジャーな山菜のみで、農山村で盛んな自家利用の広域的なパターンは明らかではない。
そこで、本研究では山菜利用の実態を全国スケールで明らかにするために、大規模なウェブアンケート調査を2025年7–8月に実施した。国内に居住する成人男女を対象に、47都道府県・6世代(20代〜70代以上まで、10歳区分)・男女をほぼ均等に層化抽出し11,280人から回答を得た。暫定的な有効回答10,357人(91.8%)を対象に解析したところ、直近5年間の平均的な利用頻度として、月一回以上摂食、購入、採取したと回答した人の割合はそれぞれ31.9%、20.8%、8.6%だった。提示した30種の山菜の過去から現在にかけての利用経験(摂食・購入・採取)を集計したところ、摂食種数と採取種数は1990年代前半から現在にかけて全国的に減少していた一方、購入種数については明瞭な増減傾向は見られなかった。特に福島県とその近隣県では原発事故後に利用種数が一時的に大幅に減少し、その後も元の水準までは回復していなかった。本発表では更に利用頻度や利用種数に影響する社会環境要因について検討した結果を報告する。