| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-028  (Poster presentation)

富山県内のマミズクラゲ生息状況の解明-目視,環境DNA分析と市民サイエンス-【A】
Searching for freshwater jellyfish in Toyama, Japan: Visual polyp observation, eDNA, and citizen science approach.【A】

*永井椋太(富山大学), Isao Miles PETERSON(Toyama Univercity), Cheryl Lynn AMES(Tohoku university), 北野聡(諏訪湖環境研究セ)
*Ryota NAGAI(Toyama Univercity), Isao Miles PETERSON(Toyama Univercity), Cheryl Lynn AMES(Tohoku university), Satoshi KITANO(Lake Suwa Env.Res.center)

マミズクラゲ(Craspedacusta sowerbii)は、淡水域に生息する傘径約20㎜で無色半透明の小型のクラゲである。起源は中国の長江流域と考えられており、南極大陸以外のすべての大陸で存在が確認されている。日本各地でも目撃情報が複数報告されている。富山県内では、2010~2020年の10年間に、計4か所の池やため池で本種が発見されている(不破・稲村 2022)。また、世界的にもマミズクラゲの分布は、温暖化によって拡大すると予測されている(Marchessaux et al., 2021)。本種は、寿命のほとんどをポリプの状態で過ごす。クラゲとなるのは稀で、浮遊生活をするのは数日だけである。ポリプの状態では底生生活をし、大きさも数ミリと小さいため、肉眼での発見は困難である。しかしながら、分布状況の把握には目視によるクラゲの観察が主であり、正確な分布状況を捉えるには不十分である。 本研究では、これまでの目視観察に加え、市民サイエンスによる情報収集および環境 DNA分析を組み合わせることで、より精度の高い分布状況の把握を目的とした。
 県内5施設において、本種の目撃情報を募るため、掲示物の設置や標本展示を行った。さらに、地元メディアやYahoo! ニュース等を通じて目撃情報の提供を呼びかけてもらい、市民参加型の情報収集を行った。また、水中の落葉落枝を収集し、双眼実体顕微鏡でポリプを探した。環境DNAについては、県内7か所の池などでサンプルを採取し、今後分析予定である。市民からは、8件の目撃情報が集まった。加えて、近県である長野県での目撃情報およびクラゲを入手できたため、16S rRNAの配列に基づき分子系統樹を作成した。長野県のサンプルは、シンガポールや長野県の他の場所から採取されたものと同じクレードであることが分かった。また、県内でも1か所の池からポリプを発見することができた。ポリプの発見には多くの時間を要するため、環境DNAを用いた調査により、ポリプの検出が可能となれば、効率よく分布域を把握できると期待される。


日本生態学会