| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-039  (Poster presentation)

島嶼環境における外来オオヒキガエルの侵入先群集への影響と適応過程の統合的検証【A】
An Integrated Study on the Impacts and Adaptive Processes of Invasive Cane Toads on Native Communities in Island Environments【A】

*原川史子, Cronin ADAM, 岡村悠(東京都立大学)
*Fumiko HARAKAWA, Cronin ADAM, Yu OKAMURA(Tokyo Metropolitan University)

外来種はなぜ様々な地域に侵入し、短期間で定着できるのか。その普遍的メカニズムの解明は、侵入生態学における中心的課題である。一般に外来種は少数個体で新たな地域に導入されるため、強いボトルネックを受け、初期個体群の遺伝的多様性は低いと考えられている。しかし実際には、新規環境へ迅速に適応し、在来生態系に大きな影響を及ぼす侵略的外来種も多い。外来種の侵入成功の要因として、初期集団の遺伝特性、高い表現型可塑性、侵入後の急速な適応進化などが提唱されているが、その相対的重要性は未だ明らかでない。

南米原産のオオヒキガエル Rhinella marina は害虫防除を目的として世界各地に導入され、日本では父島・南大東島・石垣島で定着が確認されている。本種は島ごとに侵入経路が異なり創始者効果が生じている可能性があり、さらに各島の環境条件の違いにより、島ごとに異なる適応過程が作用していると考えられる。

本研究では、異なる環境における本種の適応過程を明らかにするため、導入経路及び環境条件の異なる父島および石垣島の2地域を対象に、オオヒキガエルの密度・食性・形態を調査・比較し、侵入後の適応過程を検討した。

父島190個体、石垣島100個体のデータにより、島間で個体密度・食性・形態のいずれの指標にも明確な差が認められた。特に体サイズにおいて、石垣島で雄が相対的に小型化する性的二型が強く見られ、本特徴は国内個体群で初めての知見である。さらに、石垣島個体は父島個体に比べ、雌雄共に体サイズに対する頭部及び四肢が大きく、よりがっしりした体型を示した。

性的二型の島間差の一因として、父島では雌を巡る雄間闘争の頻発が雄の大型化を維持する一方、石垣島では個体密度が低く、加えて捕食者の存在が雄の体サイズを小型化させている可能性が考えられる。

今後、南大東島のデータ及び3島間の遺伝的情報を統合することで、環境差に応じたオオヒキガエルの適応過程を検証する予定である。


日本生態学会