| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-041 (Poster presentation)
外来種の侵入は生態系の構造や種間関係を不可逆に変化させ世界的に問題視されている。ヌマガエル Fejervarya kawamurai は、西日本由来の国内外来種であり、1998年に関東で初確認されて以降分布を拡大している。本種は水田環境に生息し、幅広い食性を持つため、在来生物との食性競合や捕食など、生態系への影響が懸念されている。茨城県では2004年に河内町で初確認された後に分布を広げ、現在は桜川市が侵入最前線地域となっている。
本研究では、侵入最前線地域において侵入年代の異なる地点間で本種の食性と体サイズを比較し、本種の生態的特徴と在来カエル類への影響を明らかにすることを目的とした。
本研究では、2023年から2025年の本種の活動期において、茨城県土浦市・つくば市・桜川市で侵入年代に沿って7地点の調査地を設定した。調査地は、2025年時点で本種未侵入の2地点と、侵入後0年・1年・3年・4年の地点、さらに、2023年および2024年に同一地点を調査し、侵入後7・8年の地点として解析した。捕獲調査は主に日没後に実施した。侵入後7・8年の地点のみ昼間に実施した。捕獲した個体について体サイズを測定し、胃内容物を採取・観察した。その後、胃内容物の出現頻度・個体数・体積をもとに胃重要度指数(IRI)を算出し、これらを用いて侵入年代およびカエル種間で体サイズと食性を比較した。
調査の結果、侵入年代に伴い本種の体サイズと食性が変化していた。体サイズは侵入後4年以内の地点で雄が大型化する傾向を示した。食性では、侵入後4年以内の地点でカエル目の捕食が確認され、その多くは在来種であるヒガシニホンアマガエルDryophytes leopardusの上陸個体であった。さらに、侵入年代の経過に伴い本種とアマガエルの食性は類似する傾向がみられ、在来アマガエルには捕食と食性競合の二重の影響が及ぶ可能性が示唆された。カエル類は水陸両環境を利用する中間捕食者であるため、その種組成の変化は生態系に大きな影響を及ぼす可能性がある。