| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-043 (Poster presentation)
ヒトスジシマカは、地球温暖化に伴って生息域が北へと拡大していることが知られているが、同様に生息環境が変化している東京都内におけるヒトスジシマカの大きさについては不明な点が多い。身体の大きさの指標となる翅長の違いにより、感染症媒介の可能性が変わることが知られているため、都内の都心部から郊外にかけてライントランセクト法を用いて計7箇所の計測地点を設け、メスのヒトスジシマカの翅長の変化と、環境要因との関係性について考察した。
都内の異なる人口密度の度合いの市区7地点(葛西臨海公園、夢の島公園、日比谷公園、上野公園、代々木公園、三鷹、昭和記念公園)において、捕虫網を用いた8分間人囮法で2025年7月から10月にかけて、913匹のメスのヒトスジシマカサンプルを採取し、翅長を計測した。環境要因である所在地、月、気温、降水量、昼間人口密度、夜間人口密度を用いた複要因線形モデルを63通り作成し、赤池情報量規準(AIC)の値が最も低い所在地、月、気温の3要因で構成したモデルを採用して解析した。結果、気温は正の有意差0.03 mm/℃を示した。翅長の平均値は、三鷹で最高値を示した。翅長と気温の関係を現したLOESS曲線のピーク値は29.60℃で、その時の翅長は2.586mmであった。したがって本研究では、野外個体群では29~30℃程度の中間温度でピークが生じる可能性を示した。