| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-044  (Poster presentation)

高崎川におけるアメリカザリガニ(Procambarus clarkii)の個体群動態【A】
Population Dynamics of the Red Swamp Crayfish (Procambarus clarkii) in the Takasaki River【A】

*田中宏樹(東京大学)
*Koki TANAKA(Tokyo Univ.)

アメリカザリガニ(Procambarus clarkii)は北アメリカ原産の外来種で、日本では在来生物の捕食や環境改変を通じて淡水生態系に影響を与えていることが知られている。これまで湖沼や水田などの止水域を対象とした研究は多いが、河川における縦断的な環境勾配に沿った分布と個体群構造を同時に評価した研究は限られている。本研究では、千葉県高崎川流域を対象に、流域スケールでの分布およびサイズ構造の特徴を明らかにすることを目的とした。
高崎川流域内の33地点において、たも網およびカゴ罠により個体を採集し、流速、水深、底質・植生、河川次数を記録した。捕獲個体の頭胸甲長を測定し、分布およびサイズ構造に影響する要因を分析した。その結果、カゴ罠による捕獲個体数は枝や落葉などの底質と正の関係を示し、河川次数とは負の関係を示した。たも網による捕獲個体数は枝や砂などの底質および河川次数と負の関係を示した。平均頭胸甲長は水深と正の関係を示し、成熟個体および幼体は主に上流域で確認された。
以上の結果から、本種は流域内の環境勾配に沿って分布とサイズ構造が変化し、特に上流域で再生産と個体群成長が相対的に活発であることが示唆された。本研究は、河川における本種の生活史の空間構造を示した点で意義があり、今後の分布管理やモニタリング手法の検討に資する知見を提供する。


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