| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-046 (Poster presentation)
外来植物は生物多様性の損失や生態系機能の攪乱を引き起こす主要因の一つであり、その経済的影響は世界規模で甚大とされる。そのため、侵入・拡大を早期に把握し、継続的にモニタリングすることは生態系管理において極めて重要である。しかし、現地調査やリモートセンシングなどの既存手法で広域かつ多種を対象としたモニタリングをするには、労力や解像度の観点から限界がある。また、道路は外来植物の主要な拡散経路であることが知られており、道路沿いの植生を継続的に把握するための実用的な手法の確立が求められている。
そこで本研究では、道路沿いを広範に撮影・記録したGoogle Street View(GSV)画像に着目し、画像から草本植物を識別して分布を地図化する省力的モニタリング手法の構築を目指した。対象地域として長野県の茅野市・諏訪市・原村・富士見町を選定し、国土地理院の道路GIS情報から一定間隔で生成したサンプリング点をもとにGSV画像を取得した。植物種識別モデルには、約1,400万枚の大規模画像で事前学習された汎用的なVision Transformer(ViT)モデルを採用し、植物種識別に特化させるため転移学習を行った。転移学習用のデータは、生物画像の公開データセットBioTroveを用い、対象種は日本の在来種および侵入済み外来植物から画像データを入手できた735種を選んだ。GSV画像は遠景で植物が小さくうつる場合が多いため、モデル適用時には画像をタイル状に分割し、細分化された領域で草本植物を識別できるかを検討した。学習後モデルにより、各タイル画像から対象種の在不在および種を識別し、その結果を統合して地図化する解析フローを構築した。本発表は、解析で得られた検出結果の正確性や特徴と、道路沿い植生モニタリングへの応用可能性について議論する。