| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-047  (Poster presentation)

潜在的餌資源である外来カエル類の侵入が在来ヘビ類の生態に及ぼす影響【A】
Ecological Impacts of an Invasive Frog as Potential Prey on Native Snakes【A】

*人見美保, 馬籠優輔, 細谷祐太, 小畑理桜, 上條隆志, 澤田聖人(筑波大学)
*Miho HITOMI, Yusuke MAGOME, Yuta HOSOTANI, Rio OBATA, Takashi KAMIJO, Kiyoto SAWADA(Tsukuba Univ.)

外来種は捕⾷や競合を通して在来⽣態系に負の影響を与える⼀⽅、⽣息地や餌資源の提供といった促進作⽤をもたらす場合もある。しかし、この作⽤が在来種の⽣態に与える影響については十分に理解されていない。特に、高次捕食者かつ 指標種として重要な生物であるヘビ類に関しては、世界的に減少傾向にあるにも関わらず研究が乏しい。そこで本研究では、在来へビによる外来餌資源の利⽤実態と、それに伴う⽣態的変化を明らかにすることを⽬的とした。具体的には、2021 年に国内外来種ヌマガエルの侵⼊が確認された茨城県つくば市の宝篋⼭麓において、2025 年 3 ⽉末〜11 ⽉に週1回の在来ヘビ類の捕獲調査を⾏った。捕獲個体は、種名、体⻑・体重の計測、強制嘔吐による胃内容物の確認を⾏い、標識したのち放した。得られた計測データから、肥満度(体重/体⻑ 3)と季節活動量(⽉毎の種別捕獲個体数)を算出し先⾏研究と⽐較・解析した。その結果、⾷性については捕獲された在来ヘビ6種のうちヤマカガシ、ニホンマムシ、ヒバカリでヌマガエルの捕⾷が確認され、特にヤマカガシは胃内容物のうち約4割をヌマガエルが占め、その多くは 10 ⽉に捕⾷されていた。季節活動量は、通年の全捕獲数(再捕獲を除く)に⼤きな変化はなかった(先⾏研究の年平均捕獲数:115 個体 本研究:108 個体)が、ヤマカガシの 10 ⽉の捕獲数が先⾏研究よりも⼤幅に増加し、ニホンマムシの捕獲数は先⾏研究で最も多かった 7 ⽉が減少し、相対的に 10 ⽉の捕獲数割合が増加した。肥満度は、ヤマカガシは先⾏研究と⽐較して有意差は⾒られなかったものの減少傾向にあり、⼀⽅ニホンマムシは有意に増加していた。以上の結果から、外来ヌマガエルが在来ヘビの主要な餌資源の⼀種になっていることが⽰され、それが在来ヘビの秋の活動量増加に影響している可能性が⽰唆された。


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