| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-048  (Poster presentation)

外来哺乳類生息状況の異なる2島における音響モニタリングを用いた鳥類群集の定量比較【A】
Quantitative comparison of bird communities using acoustic monitoring on two islands differing in introduced mammal presence【A】

*谷口司, 舩橋美月, 上條隆志, 飯島大智(筑波大学)
*Tsukasa TANIGUCHI, Mitsuki FUNAHASHI, Takashi KAMIJO, Daichi IIJIMA(Tsukuba Univ.)

 伊豆諸島の無人島・八丈小島は、同諸島内他島の主要外来種であるイタチやノネコ、ヘビなどが導入されていない貴重な島嶼生態系を有する。一時期植生被害を及ぼしたノヤギの駆除後には希少種クロアシアホウドリの繁殖地となるなどその保全重要性は非常に高い。鳥類では高固有性種の豊かさが示唆されているが、定量的な研究は不足している。そこで本研究では、アクセス困難な環境や同時調査において有効な手法である音響モニタリングを用いて、八丈小島と、地理的に極めて近接していながら捕食者となりうる外来種が生息する八丈島の鳥類群集を比較することを目的とした。両島の森林内複数地点において、2025年5月上旬の毎日5-7時の毎時最初5分間の鳥類の鳴き声を自動録音機器によって収集した。得られた鳴き声データから各鳥類種の検出有無と鳴き声数を集計し、伊豆諸島に特徴的な鳥類のうちタネコマドリ・カラスバト・モスケミソサザイを対象とした種別解析(GLMM)と、森林性鳥類全般を対象とした群集解析(NMDS・指標種分析)を行った。種別の鳴き声検出確率とさえずり数については種・時間を通して八丈小島が八丈島を上回る傾向があった。また、種組成は島間で異なり、そのばらつきは八丈小島の方が小さかった。さらに、指標種として選ばれた種は八丈小島では伊豆諸島において固有性が高い種が多かった。以上のように、イタチなどの主要外来種が不在である八丈小島ではタネコマドリ・カラスバト・モスケミソサザイの活動量が多さ、群集としての固有性の高さが示唆され、改めて保全重要性の高さが示された。今後は、今回対象とした種以外の固有性が高い種における種別解析の実施や、ポイントセンサスによる島間差異の密度要因・行動要因の分離を行うことが重要と考えられる。


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