| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-049  (Poster presentation)

夜間人工光による昼行性キリギリスの発音行動の変化と生存率への影響【A】
Effects of artificial light at night on signaling behavior and survival of a diurnal katydid【A】

*中岡佳祐, 広部康太, 清水孟彦, 門田直輝, 先崎理之(北海道大学)
*Keisuke NAKAOKA, Kota HIROBE, Takehiko SHIMIZU, Naoki MONDEN, Masayuki SENZAKI(Hokkaido Univ.)

夜間人工光は都市化や人口増加に伴い世界規模で増加しており、生物の採餌、繁殖、生存などに影響を及ぼすことが明らかになっている。こうした影響は、個体レベルでは短期的な行動応答として現れるものと、それらが長期にわたり蓄積して現れるものの2つに大別できる。例えば、人工光は昼行性動物の活動を活発化させ、短期的には採餌量や繁殖成功の増加といった利益をもたらす可能性がある。一方で、長期的に見れば採餌時間やエネルギー消費の増加を通じて、生存率や寿命に影響することが予測される。しかし、両者を同時に検証した例は少なく、人工光による短期的な行動変化がどのように長期的影響へと波及するかは明らかでない。これまでに我々は昼行性とされるウスイロササキリ(バッタ目キリギリス科)が、街灯下の生息地で夜間にも発音行動を示し、実験室下では人工光照射時により多くの個体が発音することを明らかにした。本研究では、人工光が本種の発音に費やす労力を変化させ、それが摂食量や寿命に影響するという仮説を検証した。実験個体のサンプリングは、北海道内の4地域で2025年8-9月におこなった。発音モニタリング実験では、自然光の当たる室内で実験個体を単独飼育し、Light(夜間人工光あり)とDark(人工光なし)のトリートメントを1日ずつ与えた。実験個体は1地域あたり2群に分け、トリートメントの順序を入れ替え実験した。実験中は録音機で各個体の発音を常時記録し、録音データから発音を自動検出することでその回数や長さのデータを得た。長期飼育実験でも同様に室内で各個体を隔離し、各地域10個体ずつをLight/Darkのどちらかで継続飼育した。8月末から2カ月継続し、毎日生存を確認するとともに、3日ごとに糞を採取し摂食量の指標とした。これらのデータからトリートメント間での発音労力、摂食量、生存率の差を解析し、人工光の影響について評価した。


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