| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-053  (Poster presentation)

植林・伐採後年数の異なるクヌギ植林地における地表徘徊性節足動物の比較【A】
Comparison of ground-dwelling arthropod assemblages in sawtooth oak plantations: effects of ages after afforestation and logging【A】

*齊田圭佑, 小路晋作(新潟大学)
*Keisuke SAIDA, Shinsaku KOJI(Niigata Univ.)

林齢の進行に伴う森林構造と林内環境の変化が地表徘徊性の節足動物群集に及ぼす影響を調べるため、石川県珠洲市の奥能登丘陵に位置するクヌギ植林地にて調査を行った。調査地では茶道用の高級炭を生産するため短伐期(約8年)の伐採・萌芽が繰り返されており、年ごとに異なる林分で伐採が行われる。このため、林齢に応じて開放的な草地・荒地的環境(樹冠発達前ステージ)と、樹冠により林床が覆われる森林的環境(樹冠発達後ステージ)の林分が混在している。本調査では、林齢の異なる12林分の植林地および対照区として2林分の広葉樹混交林を選定し、2025年7月および9月にピットフォールトラップを用いた節足動物類の採集と林内環境の測定を行った。アリ類を対象として分析を行ったところ、(1) 確認された26種のうち、植林地と広葉樹混交林の共通種が12種を占め、生息地ジェネラリストに類別される種群が優占していた。(2) 植林地においては、樹冠が発達し、下層植生の草丈が高い林分ほど種数が多い傾向があった。したがって、下層植生の発達に伴い林床環境の複雑性が高まり、多種の共存が可能となったこと、また、樹冠被覆の低い林分では夏期の高温の影響により生息種数が制限されたが、樹冠発達後の林分では気温緩衝効果が働き、生息可能な種が増えた可能性が示唆された。一方、林床環境に関する要因(リター層の厚さ、植生・リター被度、土壌含水比)の影響は検出されなかった。(3)種組成には樹冠発達度が影響を及ぼしており、樹冠発達前ステージ、樹冠発達後ステージ、広葉樹混交林の順に連続的に組成が変化した。以上より、植林地におけるアリ類の群集は、森林構造の変化に強く影響されることがわかった。


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