| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-060  (Poster presentation)

稲の成長に伴うサギ類の水田利用の変化:水田内の餌生物量の影響【A】
Changes in Rice Field Use by Herons and Egrets along with Rice Plant Growth : Influence of Prey Abundance in Rice Fields【A】

*林田綾音(宮崎大学大学院), 戸篠篤哉(宮崎大学), 平田令子(宮崎大学)
*Ayane HAYASHIDA(Grad. Sch. Univ. of Miyazaki), Atuya TOSHINO(Univ. of Miyazaki), Ryoko HIRATA(Univ. of Miyazaki)

 農繁期の水田はサギ類の採餌場所として機能している。水田内の環境は稲の成長や水管理によって時間とともに大きく変化する。このような変化はサギ類の水田利用と餌生物の生息に影響を与える可能性がある。そこで本研究では、稲の被覆率と湛水の有無が、餌生物(カエル類成体、貝類、昆虫類)の個体数およびサギ類の個体数に与える影響を明らかにすることを目的とした。そして、餌生物がサギ類の水田利用の変化に関係しているかを考察した。
 サギ類の調査は2025年の8月から9月に宮崎県綾町の水田地帯で行い、ルートセンサスによりサギ類の個体数・行動・位置を記録した。水田内の環境については1筆ごとに、湛水の有無を目視で記録し、稲の被覆率をNDVI値から推定した。解析ではサギ類の個体数と稲の被覆率および湛水の有無との関係を求めた。餌生物の調査はサギ類の調査と同時期に調査地内の4筆の水田を対象にトラップを設置し、トラップごとの捕獲個体数と湛水の有無、水田全体の被覆率を記録した。解析では各餌生物の個体数と稲の被覆率および湛水の有無との関係を求めた。
 サギ類は稲の被覆率が低く、湛水した水田で多かった。カエル類は稲の被覆率と湛水状況に影響されず捕獲され、昆虫類は被覆率に関係なく湛水している場所で多かった。貝類は湛水している場所でのみ記録され、稲の被覆率が高い水田で多かった。このことから、サギ類が湛水した水田に多いのは餌生物が多いためで、それには昆虫類や貝類の生息が影響していることが分かった。ただし、サギ類は稲の被覆率の低い水田を選択する傾向があったことから、サギ類の水田利用に餌生物の個体数だけが影響しているわけではないことが示唆された。これには、サギ類にとっての水田内での動きやすさや視界の良さが影響していると考えられる。


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