| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-069  (Poster presentation)

物理特性の異なる道路舗装材が無脊椎動物群集の出現数に与える影響【A】
Effects of Road Pavement Materials with Different Physical Properties on the Abundance of Invertebrate Communities【A】

*山元駿介(近畿大学・院・農), 平岩将良(近畿大学・農), 早坂大亮(近畿大学・農)
*Shunsuke YAMAMOTO(Grad.Agric. Kindai Univ.), Masayoshi HIRAIWA(Fac.Agric. Kindai Univ), Daisuke HAYASAKA(Fac.Agric. Kindai Univ)

道路は我々の生活に欠かせない社会インフラのひとつである。しかし、路面を人工物で固める舗装化により、生物・生態系は様々な負の影響を受けている。それは、未舗装路では起こり得ない舗装材の持つ物理特性(路面温度や保水率など)に起因すると考えられている。たとえば、動物が路面へ積極的に出現するとロードキルの増加につながり、他方で、飛翔能力の無い種(無脊椎動物など)が路面を回避する場合、生息域の分断がもたらされる可能性がある。とは言え、前述の通り、道路の舗装化は我々の生活に安全性や快適性などを提供するため、なくすという選択は現実的ではない。自然共生型社会を実現するにあたっては、動物本来の応答を変化させない舗装材の探索が急務である。近年、様々な舗装材が開発されつつあるが、舗装材がもたらす生態学的脅威の理解は、現時点で主流のアスファルトに限られ、その他の材による影響について総合的に評価した事例は無いに等しい。そこで本研究では、物理特性(路面温度と保水率に着目)の異なる舗装材(アスファルト:A、コンクリート:C、ゴムチップ:R)に対する動物、特に無脊椎動物の応答(出現数)を比較した。調査は、近畿大学農学部内の2カ所の林縁の草地で行った。作成した各舗装板と未舗装板(0.81 m2)を各地点でブロック状に配置し、無脊椎動物の出現数を記録した。調査時間は、これら動物の活動が活発な日中の5時間、および日没後の2時間の計7時間とした。並行して、各時点で各材の路面温度と保水率を計測した。調査の結果、無脊椎動物群集全体でみると、日中ではAとR材で有意に出現数が減少した(出現回避)。なお、この傾向は特に、飛翔能力を持たない無脊椎動物で顕著であった。一方、夜間では、特定の科(マダラスズ科)がCへ積極的に出現する傾向にあった。本発表では、上記の結果がもたらされた理由について、各舗装材の物理特性の違いを踏まえて議論する。


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